ホッファーは、「ホーボー」という存在をバックグラウンドに持ちます。ホーボーとは、19世紀の終わりから20世の初頭のアメリカで土地から土地を移動しながら労働に従事した人たちのこと。彼らは仕事を求めて、勝手に鉄道に乗り込むなど拠点を持たず、ある種の自由を持っていたので、1940年代後半から60年代にかけて起こった、当時のアメリカのキリスト教的な伝統や規範からの解放を求めた「ビート・ジェネレーション(ビートニク)」と呼ばれる文化運動に大きな影響を与えています。デニス・ホッパーが監督・主演した『イージー・ライダー』の主人公がバイクで旅をするのも、 ビートルズ の音楽がインドに影響されるのも、 スティーブ・ジョブズ が日本の禅寺で修行をするのも、ホーボーやビートニクの影響と考えられます。自分も10代の頃にこのあたりの文化にどっぷり浸かっていたので、際限なく話ができそうですが、今は話を元に戻したいと思います。