名古屋城でも走らせることは可能—河村名古屋市長が古典SLの動態保存へ強い意欲

名古屋市の河村たかし市長は8月2日に開かれた会見で、同市が保有する2400形蒸気機関車2412号機の動態展示について、記者の質問に答えた。

この機関車は、明治時代の1904年から75両が製造されたタンク式蒸気機関車。1909年に蒸気機関車の形式称号が改正されるまでは、1890年に登場した2100形、1898年に登場した2120形、1904年に登場した2500形とともに、動輪が3軸となっているこれらの機関車に対してアルファベットのBを付けて区別したことから「B6」と総称されていた。

B6は当時の蒸気機関車としては非常に使い勝手がよかったことから、イギリス、アメリカ、ドイツ、日本で3形式合わせて総勢534両を製造された。2400形は日露戦争の物資輸送などのため75両が製造されたB6の中では少数派で、2412号は現存するドイツ製のB6としては唯一の存在となっている。

同機は1904年に誕生後、中部地方で一貫して使用され、1948年、高山機関区での運用を最後に廃車。その後は石原産業四日市工場へ転出し、1968年まで工場内の専用線で物資輸送や社員輸送に使われ、名古屋市科学館(名古屋市中区)で静態保存されるようになった。

2016年には、河村市長が名古屋臨海鉄道(あおなみ線)での2400形の運行を主張したため、科学館を管轄する名古屋市教育委員会(市教委)が大阪市北区のボイラー製造会社・サッパボイラへ機体を送り、走行の可否を調査していた。現在は解体された状態で富山県高岡市内で保管されているという。

2019年には市教委が科学館に軌道を敷き、圧縮空気により客車を牽引して運行する案を示したが、2020年には名古屋市議会が費用対効果をめぐり反発していた。

これを受けて、蒸気で動かすか、低廉な圧縮空気で動かすかが検討されたが、今回の会見で河村市長は圧縮空気で動かすことを、客車購入とともに表明。名古屋へ戻すことについては「これ以上、保管料をかけられないし、とりあえず動かしたい」と述べた。

一方で、蒸気による運行もできるようにしておきたいという考えも示し、名古屋城付近の道路を1車線潰し、そこに軌道を敷いての動態運行も可能だと述べた。

また、動態展示までどの程度の時間を見込んでいるのかという質問に対して河村市長は「すぐにできるのではないか」「1年でもできるのではないか」と述べるに留まっている。

ちなみに、圧縮空気を使った蒸気機関車の動態保存は、北海道標津町のC11形蒸気機関車224号機や、新潟県のえちごトキめき鉄道が運営している「直江津D51レールパーク」(上越市)のD51形蒸気機関車827号機(D51 827)で行なわれており、河村市長はD51 827のことをしばしば引き合いに出し答弁している。

会見では動輪のみを回転させる動態展示についても触れられたが、これについては東京都大田区の入新井(いりあらい)西児童公園に保存されているC57形蒸気機関車66号機(C57 66)に例がある。名古屋市がこの例を視野に入れているかは不明だが、動輪のみの動態展示、圧縮空気による動態保存、蒸気での動態保存という3つの選択肢を巡り、今後の紆余曲折が予想される。

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