初の最終赤字に陥ったJR東海がリニアに苦戦…ターミナル駅の難工事などで総工事費が増大

JR東海は4月27日、リニア中央新幹線の総工事費が当初より1兆5000億円程度増加した7兆400億円に達する見込みになったことを明らかにした。

同線は2014年10月に品川~名古屋間の工事実施計画が認可されているが、当時の総工事費は5兆5200億円と見込まれていた。

増大の要因としては、起点の品川駅と終点の名古屋駅の建設において、地質の問題や狭隘箇所での施工上の制約が発生し、想定以上の厳しさになったことに加えて、トンネルとトンネルの間にある地上区間(いわゆる「明かり区間」)における耐震強化が必要になったこと、都市部の地下掘削に伴なう発生土の活用費用負担やトンネル掘削による発生土の運搬、受入の費用の増大が挙げられている。

また、新型コロナウイルスの感染拡大による東海道新幹線の利用率低下などにより、JR東海を取り巻く経営環境が極端に悪化していることも要因とされており、4月27日に発表された同社の2021年3月期決算短信によると、2020年度の連結業績で、当期純利益が前年度の3978億8100万円の黒字から2015億5400万円の赤字となり、同社始まって以来の最終赤字転落に陥っている。

ただし、JR東海ではリニアの総工事費増大が2022年3月期の業績予想には影響していないとしており、2018年度比で2021年度に66%、2022年度に80%、2023年度に90%と段階的に運輸収入を復調させ、2024年度以降は2028年度までに100%とすることを前提に工事を進めるとしている。

とはいえ、新型コロナウイルスの感染拡大は変異株の増大により予断を許さない状況が続いており、JR東海は4月28日、東海道新幹線における5月6日~6月30日の臨時列車運行中止を発表。運輸収入などの復調を堅持できない場合は「工事のペースを調整し、十分に経営体力を回復することで、工事の完遂を目指します」としており、2027年度開業の当初目標が困難であることに変わりがない点を暗に示している。

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